Ambivalent and Vague

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36/体温

言葉無き世界
34/指先」のつづき


 
 そこに言葉はない。ただ、音がするだけだった。


 ───獣のように短く荒い息遣い、凩のように啜り泣く嬌声。
 ───百合の淫蜜を探る繊細な指、漆黒の髪に埋まる白い指。


 いつもなら求める言葉も、今はいらない。その温もりが欲しい。


 ───人を殺めるときに凍らせた心を溶かすために。
 ───帰りを待つ寂しさから沈めた心を浮かび上がらせるために。


 ただひたすらに、男と女は行為に没頭する。お互いの体温だけを頼りに。


「香…」
「撩…」


その熱に形を与えるためだけに、二人は焦がれる名を呼んだ。

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うーたん

Author:うーたん
好き勝手に書き散らかしておりまする。書いたお話は、まるで千歳飴(どこ切っても同じ)。タニシのようにひっそりと生息中。

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