Ambivalent and Vague

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Süßes oder Saures

魔女が踊る収穫祭 (R-18)

 
 それは、一週間前のこと。
 相変わらず、伝言板には依頼が見当たらない。ガッカリした帰り道、香がキャッツに立ち寄ると、美樹からハロウィンパーティーに誘われた。イベント好きな香がゆえ、その提案にはノリノリだった。仮装することにも了承すると、美樹が小ぶりの抽選箱を出し、ズイッと香に差し出した。
「これは?」
「仮装はね、くじ引き制なの。こっちで用意しているから、あとは当たった衣装を着てもらうだけなのよ」
「じゃあ、美樹さんやかすみちゃんは、もう決まったの?」
「ううん、これから。じゃ、一緒に引きましょうよ」
 そう言った美樹が、まず抽選箱に手を入れた。取り出した紙は黒い三角で、何が書いてあるのかはさっぱりわからない。
「はい、香さん」
「あ、はいっ」
 そう差し出されてしまうと、既に美樹が引いていることもあり、箱に手を入れるしかない。数が多いわけではない紙の中から、香は「これだ」と思うものを取り出した。続いて、かすみが選んだ。
「じゃ、いっせーのせっ、で開けましょう」
 ただの仮装だが、どこか三人には緊張感が漂っている。特に香は、どんな衣装が用意されているのかを全く知らされていない。変な衣装は用意されていないよねと願いながら、三人は「いっせーのせっ」で同時に開いた。
「あたしは魔女だわ」
「美樹さん、似合いそう…」
「かすみちゃん、なにかしらぁ?」
「いえいえっ、私は何かなっ。…あ、小悪魔でした~ぁ」
 二人が盛り上がる中、香は開かれた紙に視線を落とした。「天使」、書かれていた文字はこれだ。
「あら、香さんは天使なのね! うんうん、絶対に似合う!!」
 なぜか興奮した美樹が、店の奥に消えた。次現れたときには、某有名店の袋を手にしている。緑色の袋はまるでラッピングされたように、金色のリボンで口を閉じられていた。透ける袋ではないから、中身は全くわからない。香は見えないと思いながら、窓際へ歩いて袋を日差しに透かしてみた。もちろん、中身が見えるはずもない。
 開けようかどうか、香は迷いながらカウンターに戻った。美樹とかすみの分は持ってきていないようだから、一人ここで開けるのもどうかと思ってしまう。
「香さん、眉間にしわが寄ってますよ」
「えええええ~っ!?」
 かすみに指摘され、香は指で眉間をぐにぐにと動かした。そして、手元の袋を見つめる。何かを決意したように軽く頷き、袋をカウンターに置いた。
「開けないんですか?」
「うん、なんだか開けちゃったらビックリしちゃいそうで。前日になったら開けようかな、なんて」
 そう笑っていると、香の背後でカウベルが軽やかに鳴りだした。
「おっ、カオリ。今日もキュートだね」
 定時連絡のような言葉を今日も投げかけるミックは、自然と香の横に座った。そこは、撩の定位置とは逆だ。
「あれ、その袋はなんだい?」
「ハロウィンよ。くじ引きで決めた仮装をするんですって」
 ミックが目を輝かし、鼻息荒く香に尋ねた。
「カオリは、何になったの? どんな格好をするの?」
「これよ」
 香はミックにくじと袋を見せた。具体的な姿はわからないが、香が天使になるということはわかる。
「カオリは天使かぁ。似合うだろうなぁ。ボクもエンジェルで天使だからさ、当日は二人で一緒に記念撮影しょうね」
「あはは、天使つながりってこと? えぇ、いいわよ」
 ミックと約束をした香は、「そろそろ帰らなくちゃ」と言って席を立った。
「じゃ、これは当日ね」
 袋を大事そうに前で抱えたまま、香はキャッツを出て行った。その姿が見えなくなると、美樹が顎に手を沿えて、意味深な笑みを浮かべた。
「ミキ、どうしたんだい?」
「天使の姿をね、冴羽さんが許してくれるのかしら、と思っているのよ」
「もしかしてっ、そんなにキワドイの?」
 美樹の笑みが深くなると、ミックはゴクリとつばを飲み込んだ。





 パーティー前日、夕食を終えた香は片付けの後、すぐ部屋へ戻った。既にコーヒーを飲んでいた撩がリビングで愛読書を楽しんでいると、
「うっそおおおおおおお!!!!!!!!」
と大きな声が聞こえてきた。即座に戦闘態勢になった撩は、愛読書を投げ捨て香の部屋へ急ぐ。躊躇なく扉を開ければそこには、呆然とした香の姿があった。
「おいっ、香。どうしたんだよっ!」
 香の手元を見ると、フワフワとたくさんの羽で装飾された紐を持っている。白い紐の他には、もっとたくさんの羽。いや、天使の羽そのもののミニサイズ。
「か、香しゃん?」
 ゆっくりと首を回してきた香は、撩を見た途端に泣きそうだ。この白い紐に一体何があるというのか、撩にはまだわからない。
「香、この白い紐は?」
 香は顔を一気に赤らめ、その紐をベッドへ投げ捨てた。もう見たくないとばかりに、顔を手で覆う。
「だからさ、香」
「これを着るの!」
「はい? どういうこと??」
 撩は香の言っていることがよくわからなかった。だから、もう一度問いたくなるのは当然だろう。
「だから、これはハロウィンパーティーであたしが着る衣装なのっ。天使だって言ってたのに、なによコレぇ」
 紐で香が何をするのか、撩にもそれだけはわかった。しかしなんで、香がそんなことをするのだ。こんなものを着てしまったら、羽から零れる胸、溢れる白い尻。ビデオのお姉さんも真っ青な、破壊力抜群の格好が出来上がる。
「なんで、これをおまぁが着るんだよ」
「だってぇ、美樹さんがぁ」
 えぐえぐと泣きながら説明する香を、撩は辛抱強く聞き続けた。この泣き顔は可愛いなぁ、今度はもっと言葉で責めて泣かせてみようかなぁ、と頭が腐り始めたのは、もちろん内緒だ。
「なるほど。…用意する美樹ちゃんも美樹ちゃんだが、よりによっておまえが引くとはね」
「なによっ、どうせあたしには似合わないわよ」
 混乱がまだ収まらない香は、撩のちょっとした言葉に敏感だ。別の意味で顔を赤くして吠え始める。
 どうしようかなぁ、と撩は思う。いつものように言葉を投げかけてもいいが、どうにも撩だって納得がいかない。こんな姿は自分の前だけでいいのであって、他の人間になんて影でも曝したくはない。特にミックに見せるなど、天と地がひっくり返っても認められない。とはいえ、下手に煽ると逆に「やってやる!」と意気込む香だから、ここはどうにかして撩の手の中に落とさなければならないのだ。
「そうじゃねぇって」
 撩は香を抱き寄せ、ゆっくりと背中を撫でた。強ばっていた身体から力が抜け、香は撩に身を任せる。
「おまえだって、困ってるんだろ?」
「うん…」
「一度約束したことだ、断れないもんな」
 今度は頭を抱え込み、香の柔らかな髪をそっと撫でる。その手が首筋に落ちると、香が身体をピクッとさせた。見上げる香の目は熱く潤み、わずかに開いた唇は赤く華やかだ。蜜に誘われる虫のごとく、撩はその唇に引き寄せられる。柔らかなそこをゆっくりと味わいつつ、押し倒したのは香のシングルベッド。涎にまみれた頬に舌を這わせながら、「とりあえず今夜は、このまま食べてやろう」と撩は決意した。





 次の日の朝、先に目を覚ましたのは撩だ。香のシングルベッドはいつも以上の密着を求め、撩は香を後ろから抱き込む形となっている。前に布団、後ろに撩。これで寒さ対策は完璧、かもしれない。
 昨日はあのまま仲良く大人の体操を続け、天使の衣装については何も解決していない。美樹に相談したところで彼女のことだから、香の生真面目さも計算した上で決断を迫るに違いない。結果、香は「やらない」とは言えないのだ。そうであるならば、ハッキリとした理由があればいいのだろう。しかも、香にはどうにもならないような理由ならもっとよい。
「とりあえず、確認してみっか」
 撩が少しだけ香から離れると、シーツに巻き込まれていた衣装を探し当てた。大目に見たところで、太い紐と羽。どんなエロショップの商品だよ、と思ってしまう。こんなものを着てキャッツで披露するなど、絶対に許したくはない。
「だけど、俺は見たいし、見てもいいってことで」
 撩の長時間に渡る責めに今も眠っている香は、その動きに目を覚ますことは無かった。最後まで身につけさせると、「勘弁してくれ」と撩はため息をつきたくなる。露出の多い水着だとか、これからサンバカーニバルに大きな羽をつけて出場するのであればわかるが、単なる仮装でこれはやりすぎだ。胸と中心を豊富な羽で隠しただけの衣装は、背中から見れば単なる紐でしかない。しかも白、日焼けが落ち着いてきた香が肌の白さを増してきた今となっては、遠くから見ればますます裸体に近い。
「困った」
 言いながら撩は、どこか嬉しそうだ。今日はもう、外に出す気はない。
「理由、今から作ってやるよ…」
 邪魔だとばかりに布団をはぎ取った撩は、仰向けの香に覆い被さるやいなや、舌を大きく出して鎖骨を潤した。濡れた鎖骨を甘噛みし、そのまま強く吸い上げる。不規則な赤い印が刻まれ、香の白い肌から浮き上がった。羽よりも目立つそれは美しい、と撩は思う。撩はいつでも印を刻みたかったが、夏の服では隠しきれないからと拒否されていたのだ。
 もう秋は深まっている、服も全身を隠してくれるだろう。今までの分も今すぐにと、撩は刻印を止められなかった。


 しつこく繰り返される微かな痛みが、香を眠りから覚ました。ぼんやりとした視界の向こうでは黒い何かが蠢き、微かな痛みと疼きがあちこちに残った。
「撩っ! なにしてるのっ!?」
 ようやく目を覚ました姫に、撩は口端を上げてニヤリと笑った。姿勢を変えて、改めて後ろから抱え込む。
「なにって、おまえが行かない理由づけだよ」
 そのときになって香は、自分が例の衣装を着ていることに気が付いた。
「ちょっと、なんで勝手に着せるのよ。なにこれっ、天使でもなんでもないっ…あんっ」
 撩の指が羽の下に入り込み、隠された胸の先を指が掠めた。すでに立ち上がったそれは、見なくても感触だけで愛らしい。背中にも赤い印を撒き散らしながら、撩はくりくりと先っぽを回した。すぐに立ち上がって弾力に満ちたそこは、撩の指を押し返すほどに成長している。
「こんな身体じゃ、さすがのおまえも人前に出ようなんて思わないだろ?」
「そうだけど…。いくらなんでも、あんっ、やりすぎ、よ…」
 胸を玩んでいた右手が身体を渡り、残りの羽へと辿り着く。羽の上部から差し入れた指はすぐにぬめって、くちゅくちゅと可愛い音を立てた。探し当てた蕾もまたくりくりと回しながら、溝にも指を下ろす。じわじわとした疼きがたまらなくて、香はつい身体を強ばらせた。
「どうした、足の指なんて力が入っちゃって」
「だって、このままじゃ…。それに、明るい…」
 恥ずかしさを隠せない香に、撩は嗜虐心が刺激される。恥ずかしくて苦しそうな彼女は、いつも以上に色も艶も放つと知っている。
「どうして? 綺麗だよ。白い肌に、羽の白も印の赤も映える」
「印って、あたしはそんなのがなくてもっ」
「おまえがどう思おうが、俺はつけたいの。…一度、狂ったように付けてみたかったんだよね。おびただしい数の印にまみれたおまえが見たくて」
 優しい声で言うが、その目はどこか暗い。今度は香がその目に吸い寄せられ、そして堕ちていく。求められた言葉は、自然と口から零れた。
「いいよ…」
 満足そうに微笑んだ撩は、「邪魔」と衣装を脱がせた。


 香が纏うのは、かの赤だけ。


 香の両脚を抱え上げた撩は、熱い棒のような男根を溝に馴染ませ、ずぶずぶと中へ押し込んでいった。赤黒い男根は印と違って異質だが、香の中は熱く受け入れている。出し入れを繰り返すと、くちゃくちゃという音に香の甘い声が重なった。
「起きてまだ時間も経っていないから、気持ちいいだろ?」
「なに、んっ、それ…んんっ」
「知らねーの? 朝ヤるのは気持ちいいんだぜ」
 激しさを増す腰つきに、胸は素直に震える。まだ白かった胸を鷲掴みにして、撩は大きな口で噛み付いた。
「はうっ」
 ちゅうちゅうと音がするほどに吸い付く後には、赤い印が残る。その様子を見ていた香は、不思議そうに呟いた。
「撩が、こんなに印をつけるなんて…」
「いいだろ、綺麗なんだから。服に隠される印、最高だ」
 言葉の最後に強く突き込まれ、香は軽く達してしまった。それでも動きを止めなかった撩に、今度こそ絶頂に連れて行かされる。言葉にならない感覚に包まれて、香は力無く崩れ落ちた。


 もちろんこの日、香は家から出ることはなかった。





「香さん、今日は来られないんですって」
「え~っ!」
 撩からの電話を告げる美樹に、ひときわ大きな声で残念がったのはミックだ。だが、美樹にとっては想定内のことだった。あの抽選箱には仕掛けがあって、美樹とかすみが選んだのは、側面に留められてあったもの。香は底にたまっていた紙を取っていた。しかも、底の紙は全て「天使」だったのだ。この仕掛けは、衣装を買いに行った美樹とかすみしか知らない。
「あの香さんを引き留めるなんて、冴羽さんの力業しかないものね。香さん、真面目だから。せっかく収穫祭なのよ、香さんはちゃーんと、冴羽さんに収穫されないと。だってあの二人、やっぱりまどろっこしいんだもの」
 詳しい事情がわからなかったミックも、今の言葉で事情を悟った。


 魔女の格好をした美樹が、カウンターのミックにコーヒーを差し出す。これには何か入っているのではないのだろうか、とミックは口にするのを止めたくなった。

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Author:うーたん
好き勝手に書き散らかしておりまする。書いたお話は、まるで千歳飴(どこ切っても同じ)。タニシのようにひっそりと生息中。

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