Ambivalent and Vague

This page is the only Fan Fic.

  • 2017_10
  • <<
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • >>
  • 2017_12

Transmigration of Souls:The After

愛すること
Transmigration of Souls」の後日談


 
 ───想いが叶っても、不安は残るから。





「香、どうした?」
「えっ!?」
 自分でもボーッとしていたのを気付かなかったらしい。撩に指摘されて、やっと香は意識をリビングへ戻した。テレビには深夜の映画、横には撩。二人の間には隙間などなく、温もりを分け合うように寄り添っている。腰を抱いていた撩の手がスーッと上がり、肩を抱き寄せる。
「考え事をしてたみたいだな。一体どうしたんだ?」
「ううん、大したことないの」
「本当か?」
「本当だよ。ごめん、心配させて」
 香が微笑みながら言うと、撩は全てではないが納得したようだった。「それならいいが…」と言いながら、撩が立ち上がる。
「風呂に入ってくる」
 鼻歌混じりで、リビングを出て行こうとする足音は軽やかだ。扉の前で撩は立ち止まり、振り返って香をじっと見つめた。目に浮かぶ光は揺れ動き、それは撩の心の動きを表しているかのようだ。香も同じく見ていると、撩の心の渦に巻き込まれそうな錯覚を覚える。
 こんなとき、なぜ人は温もりを求めるのだろう。
「香、一緒に入るか?」
 撩の提案に、香はこくりと頷いた。


 湯船に二人で入り、寄り添って温まる。撩の上で抱きしめられている香は、その逞しい胸に頬を寄せ、身体を預けていた。愛する男の心音が響き、それはトクントクンと一定のリズムを刻む。穏やかな音は香から余計な力を消し、ただひたすらに身を任せることを許した。
 二人が身体を繫げてから、ほんの数ヶ月。香は今もどこかで信じられない。その前は、こうなる兆しなど全くなかったのだ。お互いの想いはわかっていても、身体を交わすことは別問題だと思っていた。それがある日突然、その一線は壊れた。以来、二人は夜を一つのベッドで過ごしている。
 香は撩への愛をずっとずっと温めていた。ついに関係が変化して別の形となったとき、嬉しさの奥に言いしれぬ不安が生まれたことを香は覚えている。
 いくら愛でも永遠ではなく、そもそも夢中になれる時は短いのだ。そして、何かしらの形で終焉を迎えることになる。愛が息絶えるまで、あとどれぐらい撩と一緒にいられるのか。心から大切にしたいと思うからこそ、この想いの行く末を憂えてしまう。
 だから。香は撩の胸に頬を擦り寄せた。
 その力強い鼓動を感じるために。





「本当に、今日はどうしたんだ?」
 撩自身で絶頂に導かれた後、香はボーッと横たわっていた。撩が視界に入って覗き込んでも、香の目は撩を見ていない。自分へ引き寄せるために、さらなる快楽を押し込むこともできる。ただそうではあっても、今それは得策ではない。撩はそう判断した。
 香は変わらず、愛の行き着く先を考えていた。今こうやってセックスをしている自分たちは、いつまでこうしていられるのだろう。自分は何か大切なことを伝え忘れてはいないだろうか。何も告げられないまま別れてしまう可能性だって、ないとは言えない。
 撩が香の中から抜け出し、上半身を起こす。二人の間には距離が出来て、冬の寒さが二人の肌を掠めていった。ぶるりと震えた肌が、香の視界に撩を戻す。そして、やはり考えてしまう。
 こんなとき、なぜ人は温もりを求めるのだろう。
 何回も何回も、同じ思考に嵌っているだけなのに。
「撩…」
 香は両手を広げ、愛する男を求める。撩は上半身を沈め、自身の身体で香を閉じ込めた。背中に回された白い手、細くしなやかな指が褐色の筋肉に食い込む。


 ───最後まで、この手であなたを感じさせて…。


 そうすれば、その温もりを手がかりとして、生まれ変わった後も会えるかもしれない。この優しい熱を忘れないように、香は背中に回した手に力を込めた。







 大晦日には全く関係ない話ですが、今年最後のアップとなります。
 またクリスマスには、中途半端なアップを失礼しました。29日に完成版を改めてアップしております。連載も一月中には最終話をアップさせるつもりです。年末に体調を崩しまして、ちょっと取り掛かれませんでした(言い訳)。

 本年はいろいろとありがとうございました。ブログ運営に関しては迷いもまだありますが、書きたいものがあるうちはやっていこうと思います。今さらな辺境ブログ、お時間があれば来年もお付き合いください。いつも読みにいらして下さる皆様には感謝ばかりです。
 皆様にとって、来年が素晴らしい年でありますよう、お祈り申し上げます。

スポンサーサイト
  1. [ edit ]
  2. Transmigration of Souls

プロフィール

うーたん

Author:うーたん
好き勝手に書き散らかしておりまする。書いたお話は、まるで千歳飴(どこ切っても同じ)。タニシのようにひっそりと生息中。

最新コメント

最新トラックバック

« 2017 11  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索フォーム

The antenna is here.

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム


pagetop