Ambivalent and Vague

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06/スイート・ライ

You’re special to me.
「一目惚れだから仕方ないよね」 Mの場合


 
 裏の人間からすれば、彼女は眩しい。
 ミックは香を見る度にそう思っている。香という光は、撩という闇を消し去ることがない。むしろ包み込んで、撩が撩であることを守っているかのようだ。磁界のSとNは引き合うもの、撩と香はそういうものなのだろう。
 最初はそう思っていた。





「カオリ、今日もお疲れ様」
「ありがとう。ミックもお仕事でしょ、お疲れ様」
 街中で会えば、声を掛け合う。それは他愛もない話かもしれないし、そうではないかもしれない。それに気付いたのは、つい最近のこと。その日は公園で、ミックと香はベンチに座って話をしていた。
「ごめんねミック、変なことに付き合わせて」
「謝ることなんかないよ、カオリ。話すことは大切、だからボクは嬉しいよ」
 撩という男の捉えにくさは、ミックにも理解できる。そもそも何も求めてはいないのだから、撩に対して出来ることなどほとんどないのだ。何にも執着心を持たなかった男が唯一それ向けた存在、それが香。何もわからなくても、ただ撩のそばにいればいい。香はそれがわかっているようで、全然わかっていない。
 この二人のずれを目の前にして、さて自分が取るべき態度はどれだ?とミックは思う。キューピットになるべきか、それとも。


 ───オレにとってもやはり、特別な存在には違いない。


 かずえという存在がいたとしても、香がミックにとって特別であることには変わりがないのだ。撩が香を欲し、香が撩を求めていると分かっているからこそ、ミックは今のスタンスに甘んじている。そのバランスが崩れるというのなら、今すぐ牙を剥いてもいい。そのチャンスは常に窺っている。
 ただ、他の男どもと同じ立ち位置では、自分が埋没する。それは困る。ミックだからこそ、という立ち位置を与えてもらいたい。とするならば、香の恋愛相談相手という立場がちょうどよかった。彼女の変化を見逃さないのならば、そこだ。
 ミックは見事、そこを定位置とすることができた。香からすれば、ミックは撩に近い立場だ。撩本人から答えが得られなくても、ミックからは答えが引き出せる。香はミックを頼るようになり、撩とは違う関係性を築くことが出来たのだった。
 与えられるかもしれないご褒美を思えば甘美すぎて、違う男との愛を語られても痛くはない。例え可能性が低くても、ゼロではないというだけで心が躍る。





 帰宅したミックを出迎えたのは、無人のリビングだ。かずえは昨日から学会で、今日帰宅する予定も、まだ戻っていないようだ。
 依頼された原稿を前にして浮かぶのは、文章ではなく白き裸体。暴いたこともない彼女の秘部を思い浮かべると、自然と身体が熱くなる。気分転換にとシャワーを浴びれば、手は自然とそこへ導かれた。再び浮かぶ裸体に、ミックは意志を持ち始める。ぴくぴくと揺れる場所に手をあてがい、ゆっくりと擦り上げた。虚像が近付くほど、手の動きは速くなる。
「あっ、はうっ」
 荒くなった息が声となって漏れ出た瞬間、そこはドクリと脈打った。
「ん、うぅ…」
 最後の一滴まで残さぬよう、ミックは自分を扱き上げた。これは彼女を汚すためのものだ、決してかずえに与えるものではない。その白は透明な湯と混じり、排水口へ消えていく。
 彼女への証が消えるのは仕方がない。むしろ、今は流し消し去った方がいい。今、自分を突き入れるのはかずえだけであっても、手淫ぐらいは彼女を想っても構わないだろう。


 シャワーを止め、バスタオルで身体を拭いていく。身体の奥底に風呂場の余韻を残したままリビングに戻ると、そこにはかずえが帰宅していた。
「あらミック、シャワーを浴びてたのね」
 心からの笑顔を向けるかずえに対し、ミックも微笑み返す。
「おかえり、ハニー」
 かずえに対する気持ちも本当だ。今度はその想いを浮上させて、ミックはかずえの唇を奪った。

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好き勝手に書き散らかしておりまする。書いたお話は、まるで千歳飴(どこ切っても同じ)。タニシのようにひっそりと生息中。

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