Ambivalent and Vague

This page is the only Fan Fic.

  • 2018_06
  • <<
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • >>
  • 2018_08

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. [ edit ]
  2. スポンサー広告

彼らの日常 4

そして今は、二人きり (R-18)

 
 今、クーパーは新宿を離れ、とある場所へ向かっている。依頼であっても、そこへ行くのはそうそうないはずだ。東京から近い場所であっても、行く理由がなければそういうものだろう。
 高速道路を抜け、流れに沿って行けば海岸線に出た。海風を感じたくて、香は窓を思い切り開けた。
「うーん、なんとなく潮の香りがする」
「そういうもんかね。ま、こっからは比較的海に近いから、そのうち飽きるぜ」
「もうっ、そういうんじゃないってば」
 頬をプウッと膨らませた香が気分を切りかえようと、自分のバッグから手紙を出した。裏返すと、差出人には亜矢子の名前が書いてある。
「でも、本当にびっくりしちゃった。依頼料ももらったのに、こんなものまで」
 便せんには、お元気ですかという言葉に続いて、依頼のお礼が綴られていた。依頼人には、シティーハンターに依頼をしたことを含め、一切言外しないように約束してある。とはいっても、この亜矢子のように手紙をよこすこともあって、過去にはカメラマンの葉子が写真を送ってきたこともあった。
 今回、この手紙に同封されていたのは。
「こんなことじゃないと行けないわ、こんなプールリゾートなんて!」
 さっきまで怒っていたのに、チケットを見た途端ニコニコする。気分の乱高下と見るか、切り替えが早いと見るか。それは人によるのだろうが、とにかく機嫌が直ったことは喜ばしい。撩は少し安心して、クーパーを軽快に飛ばした。


 亜矢子としてはやはり、依頼終了後の一泊が心に引っかかっていた。本来であれば必要ない宿泊であったために、撩と香の二人に気を遣わせてしまったことを気にしていたのだ。それに、ちょっとした好奇心が招いたこととはいえ、二人のプライベートを覗いてしまったとあっては、何かしておかないと自分の中に罪悪感が残る。だから、父親の伝手で入手できたプールリゾートのチケットを依頼料の他に送ることにしたのだった。
 「さらにご迷惑をお掛けした分として、気持ちですが同封させていただきます。」と書かれても、香としては「はぁ?」といまいちピンとこない。ただ撩は、亜矢子が実は自分たちの夜を見ていたことを知っているから、そのせいだろうとは理解していた。
 ──謝ってくれたんだから、別にいいのに。
 そう思っても、亜矢子の真面目な性格がそれを許さなかったのだろう。香と夏らしいことをしていなかったこともあり、撩はありがたく好意を受け取ることにした。


 いつもは気のない返事をする撩がゴーサインを出すと、香は本当に嬉しくてリビングで飛び跳ねていた。旅行に行くわけじゃないんだからと思いつつ、こうした楽しみを味合わせてこなかった自分もまた撩は認識していた。香が喜んでくれれば、それでいい。今回の外出は、そこが一番だった。
 行くとなると、香はいろんな手を使って調べ始めた。開園時間の前から行った方がいいことや、パラソルを事前に借りることができると知れば予約するなど、本当に積極的で楽しそうにしていた。そして、そんな香を見るのが撩は好きだった。





 香の準備が実を結び、プールリゾートにはすんなりと入ることができた。すぐにプールへ入れるようにと、撩も香もアパートから水着を着ていた。香の水着はオフホワイトがメインで、茶色いリボンがアクセントとなっている。胸元と左腰で結ばれ、胸は谷間を隠さず健康的にこぼれていた。セパレートタイプだから細い腰も隠れず、たわわな胸とキュッと引き締まったお尻と一緒に美しい曲線を描いている。
 とは言っても、「日焼けしたくないもん」の一言で、上にはラッシュガードを羽織っていたから、香の健康的な美は、完全に披露されることはなかった。撩も同様で、トランクスタイプの水着にラッシュガードを羽織っている。撩だったら、むしろ裸で泳ぎそうなのに。香は撩を少し不思議そうに見ていた。
 荷物を二人で運びながら、借りたパラソルの場所を目指した。
「うわぁ!」
「こりゃ、すごいな」
 入口からは少し歩く場所ではあるものの、リゾートのメインである流れるプールに近かったし、少し高い場所にあるそこからは海も見えた。ヤシの木も見えて、香の気分はすっかりリゾートだ。


 二人は荷物を置き、まずは目の前の流れるプールへ行くことにした。見た目はちゃぷちゃぷと波立つプールであったが、実際に入ってみると流れが強くて、もちろん浮かんでいるだけで距離が出てしまう。一周目はプカプカと浮かんで流れを楽しんではみたものの、ずっとは浮いていられずに悪戦苦闘だ。
「あ〜あ、どうしようかなぁ。ねぇ、撩。……って、どこいったのよ、もうっ!」
 思いついたことがあったから相談したかったのに、一緒に入ったはずの撩はどこにも見当たらない。関係を持ったからといって、他の女性に目が向いてナンパするのはいつものことだから仕方ない。でも、今日のような非日常に来てまでも同じなのかと思うと、香は溜息をつきたくなる。自分のことを愛してくれているとはわかっているが、どこかに不安が忍び込む隙間があるのは相変わらずだ。信じ切った挙げ句に奈落の底へ突き落とされるのであれば、もしかしたらとちょっとした疑惑を持ち続けていた方が心は慣れるのかもしれない。
「ふぅ……。とはいっても、声が聞こえないわね。どうしたのかしら?」
 撩がナンパをしているのなら、どこか軽い声が聞こえてくるはずだ。しかし、今はそれがない。パチャパチャという水の音と皆の歓声、それだけが香を包んでいる。孤独はそんな世界から自分を守ろうとする。気分を奮い立たせるのではなく、ゆっくりと意識を切り離せば、全ては他人事だ。
 香がぼんやりとしていると、突然ボンッと何かがぶつかった。振り返ればそれは、ピンク色の何かだ。
「香ちゃん、これはどうかな」
「りょお?」
 現れたのは、自分から離れてしまったと思っていた男だ。撩はピンク色の物体に乗り、さらに香を招いている。
「なにそれ」
「見てわかるだろ。フラミンゴボートだよ。ほれ、乗った乗った」
 撩の手助けも借りずに香が乗り込むと、少し沈んだボートはまたポンッと浮き上がった。これなら苦労することなく、流れに乗ることができる。体格のいい二人が乗ると確実に狭くて、しかし座って密着すれば場所は十分だし、だから香は自分から乗ることにした。


 二人を乗せたフラミンゴボートは、プカプカと流れに乗っている。カーブでもうまく曲がるボートを見て、香は「うわぁ」と感嘆の声を上げた。
「すごいわねぇ」
「それだけ、流れがしっかりしてるってこったな」
 周りには人がいるのに、ボートの上というだけで二人きりのように思えるのは不思議だ。水の動きが香の心をゆったりとさせていくと、ふと撩の様子が気になった。撩はうまく寝転がってのんびりしているようだが、まだラッシュガードを羽織っていた。やはり不思議だな、と香は思う。
 思い出してみると、今までに撩と水辺へ行ったことは数回ある。竜神会のときは相手からの牽制で水着となり、もちろんラッシュガードなんて着ることはできなかったけれど、ユキ・グレース王女のときは水着だけで活動していたはずなのだ。それが今、なぜ頑として脱ごうとしないのか。
「ねぇ、撩」
「あん?」
 聞いていいものかどうか、この瞬間も香は迷ってしまう。しかし、気にしていたら、その態度を撩は怪しむだろうし、だったら聞いてしまった方がいいのだろう。答えてくれるかどうかは、撩の領分だ。
「あのさ、撩はずっとそれを着てるの?」
「何を?」
「ラッシュガード」
 香が何かを気にしているなと撩も感じてはいたものの、いまいちうまくはつかみ切れていなかった。今の発言を聞けば、それが何かは予想がつく。
「なに、香ちゃんは気になるの?」
「いや、そういうわけじゃないけど……。あの、ごめん……」
 撩に質問で返され、香は回答拒否だと捉えたようだ。時に積極的でありながら、肝心なところでは自分の気持ちを押さえてしまう。そんな香だからこそ、こんなわがままな自分でも一緒にいられるのだが、それでは香の本心が遠くなる。だから、撩がそこは気持ちを引き上げようとしなければならない。
「何も言ってねぇって。……だってさ、これ脱いだら、俺ってばヤバイじゃん?」
「え、なにが?」
 香には、その言葉の意図するところがわからない。こういうプールだから、タトゥーの類は厳禁とは注意があったが、撩の身体には見当たらないのだから。
「何がヤバイの?」
「あぁ……、おまえは見慣れてるからな。こんな傷だらけの身体、晒したらまずいだろ」
 表情を変えることなく淡々と話す撩の姿に、香の心はキュッと締め付けられる。撩の身体の傷だって、好きでつけたわけではない。これまで彼が生き抜いてきた証でもあるから、そんな受け取り方をしたことがなかった。むしろ、香を守るためについた傷もあって、申し訳無さを感じてしまうほどだ。
「撩の傷は、そんなことないもん」
 少しばかり泣きそうな表情の香を見て、撩はふぅと息を吐いた。撩は特に何かを思うことはないのだが、香はそうは思わないらしい。手のひらを香の髪の毛に差し入れ、くしゃっと動かした。
「おまえはわかっているから。だけど、おまえみたいなヤツばかりじゃないんだよ。穏便に済ますことだって、大切だろ」
「だけどっ」
「いいんだよ。……せっかく亜矢子ちゃんがくれたチケットなんだぜ、楽しまなきゃ悪いぞ。ほれ、少し頭を冷やせ」
 そう言うと、撩が香の身体をポンッと押した。少し傾いたボートから、香がスルリと動いてドボーンと落ちる。
「きゃあっ、何するのよう!」
「おまえの頭が迷宮入りする前に、入口に戻してやっただけだろ?」
「んもうっ。そうしたら……、えいっ!」
 香が少し水中に潜ると、下から思い切りボートを押した。今度は撩の方にボートが傾き、そのままドボーンと落ちた。
「ぷはっ、おまえなぁ、いきなりはねぇだろ!」
「撩だって同じじゃない。これでおあいこよ!」
 一触即発の雰囲気は一瞬で、次には二人とも大笑いをしていた。今を大切にしている二人にとっては、せっかくの機会を楽しまなくては損である。


 その後もプールを楽しみながら、二人は夕方近くまでそこで過ごすことになった。目移りしそうなぐらい種類のある昼食に香が目を輝かせ、幸せそうに食べる香を撩が穏やかに見ている。こんな時間はこの先どれくらいあるのか、そんな不安は今はさておいて、とにかく二人は目一杯楽しんだ。





 数日後、それは昼食時のことだった。
「香、明日の夜は出掛けるぞ」
「そうなの? わかった、いってらっしゃい」
 またミックに誘われて飲みに行くのかと思い、そろそろ街を巡回する頃合いでもあるからと踏んだ香は、あっさりと撩の申し出を了解した。
 だが、撩から返事がない。いくら撩が口数少ない人間だとはいえ、「おう」くらいの返事はしてくれてもいいのではないだろうか。不審に思った香が顔を上げると、撩が唇を尖らせて納得のいかない表情をしている。
「どうしたの?」
「あのなぁ、出掛けるって、どういう意味だと思ったんだ?」
「え、撩が飲みに行くんでしょ?」
 よくわからないので、香は思ったことをそのまま話すことにした。すると、撩は頭を垂れて、そのまま額をゴチンとテーブルにぶつけた。
「ちょっとぉ!」
「……おまえも一緒だっつーの」
「はい?」
 もごもごした言葉が聞き取れず、香は撩に聞き返した。ムクッと起き上がった撩が、一気にまくしたてる。
「おまえも一緒なの! だから、その心づもりをしておけ!」
「は、はいぃ……」
 こんな撩はあまり見たことがない。出掛けた先に何があるのかはわからないが、自分には行くしか選択肢はない。撩の雰囲気に気圧されながら、一体どこへ連れて行ってくれるのかと心がウキウキするのもまた正直なところだった。


 翌日、クーパーが辿り着いたのは、とあるホテルの駐車場だ。そこから上がり、撩がフロントで何かを話している。係員が電話を入れると、今度は別の人間がやってきて、撩にカードキーや紙袋をいくつか渡していた。「ここで待ってろ」と言われた香は、そんなやりとりを遠くから見ていた。
 用事が終わったらしい撩が、香に近づいてくる。
「おまたせ〜。じゃ、移動しますか」
「ホテルに泊まるの?」
「それもあるけど。その前に、な」
 ホテルに泊まるとも聞いてなければ、その前に何をするのかもわからない。撩が一緒だから何とかなるでしょう、と香は思うことにした。
 またエレベーターを上がると、一気に水の匂いがしてくる。カードキーで扉を開けば、そこはホテルのプールだった。照明は最低限で、満月の明かりと星がプールを照らしている。
「これ、は?」
「香ちゃん、あっちに更衣室があるから、これに着替えて。必要なものはあるはずだから」
 そう言って紙袋を渡され、背中を押された。示された場所へ入ると、そこは小さな部屋になっていて、木のロッカーなどもあるから更衣できるような場所ではあった。
「この前行ったのに、なんでまたプールなのかしら……」
 プールリゾートでは、二人とも思い切り楽しんだはずだ。それなのに、今日またプールに来ている。撩のことだから、何かしらの考えがあってのことだろうと思うも、香にはよくわからない。肝心なところで言ってくれないからなぁと思いつつ、香は袋の中を確認した。
「りょうってば……」
 入っていたものを見て、香は脱力した声で彼の名前を呟いていた。


 先に着替え終わった撩が、プールサイドのデッキチェアに座って香を待っている。すんなりと出てきてくれるだろうかとガラにもなく思っていると、部屋の扉がギイイッと開いた。
「おまたせ……」
 夜目が利く撩にとって、これくらいの明かりであれば十分だ。香は、先日とは違う水着だ。色は全て黒のビキニタイプ、首もとと背中、胸元、そして腰の両側は布がキュッと結ばれている。先日の水着と大差ないはずなのだが、香は胸を隠してどこか恥ずかしそうにしている。
「ねぇ、これ……」
「気に入らない? 香に似合うと思ったんだけどなぁ」
「これ、撩が?」
 水着を見た瞬間にそうだろうと思ったが、いざ本人の口から聞いてみると、自分のためにわざわざ選んでくれたという嬉しさが香の中にこみ上げる。
「もちろ〜ん。この前のもよかったけど、今日はこれで。さ、プールに入りましょ〜!」
「ちょ、ちょっとぉ!」
 香の声にも構わず、撩がプールへ勢いよく飛び込んだ。高い水しぶきの後、潜っていた撩が水面から顔を出して香を招く。
「香、おいで」
 彼のパーソナルスペースに招き入れられる権利を、誰がみすみす手放すというのか。香はプールに近付き、足先からゆっくりとプールに入っていった。


 プールに浮かんだり、泳いだり。上を見れば、ガラスの天井から見える月明かりが美しい。満月のそれが自分たちの密やかな楽しみを暴きそうで、途端に水中へ潜りたくなる。また浮かんで上を見れば、今度は星が優しく瞬いていた。
 それぞれ好きなようにプールで過ごした後、二人はプールサイド手前の段差で横並びに座っていた。ふと気付くと、今日の撩は上に何も着ていない。
「今日はラッシュガードとか、着てないんだね」
「そりゃそうだろ。二人きりなんだ、別に隠すこともない」
 満月は何かを狂わせるような気がする。いつもなら見えないことも、言えないことも、今夜なら。
 身体の傷がいつもよりハッキリしているような気がして、香はそっと目立つ傷に指を沿わせた。撩が身体をピクリとさせ、香の腕を取って引き寄せる。すると香は、胸の傷にそっと口づけた。
「なんだか撩、いつもより傷痕がいっぱいあるような気がする」
「そりゃ、プールで運動してるからな。熱で浮き上がったんだろ。……イヤか?」
「ううん、イヤじゃない。だって、撩の人生そのものだもん」
 海原との戦いでついた胸の傷に、香が頬を寄せる。撩のすべてをいとおしむようなその行動に、撩は劣情を誘われてたまらなくなる。お返しとばかりに耳で舌を滑らせ、首もとへ唇を落とす。香の身体が反応した場所を優しく食みながら、首の後ろにある結び目を歯でグッと解いた。
「りょお……」
 これから自分が何をされるのか、いくらなんでも香にだってわかっている。先日のプールでは、香との時間を考えて撩は動いてくれていた。だから今日は、香が撩に合わせてあげたい。
 ハラリと細い紐が落ちるも、まだ黒布は湿ったまま胸を覆っている。その頂きで舌先を動かしていくと、僅かにそこが動いた。大きな口で噛みつきチューチューと吸い上げれば、今度は香の身体全体が震える。左手がまだ触れてもいない右胸の麓をなぞると、さらに香がピクリとした。
 もはや、その布は邪魔でしかない。顔を横にスライドさせると、胸元にある結び目に撩が食らいついた。歯で器用に動かせば、支えを失った黒布がはらりとプールに落ちていく。黒の代わりに現れたのは、まだ白く柔らかな胸だ。
 香はプールサイドに上半身を寝かされ、胸をしゃぶられる。下半身を辿る撩の左手が艶めかしくポチャンと波立たせ、そのどれもがどこか遠い世界のような気がしていた。なぜ自分たちはプールにいて、満月の下でこんなことをしているのか。これが撩の願いなら、満月にもっともっとその願いを暴いてほしい。そして、瞬く星に願いを後押ししてほしい。
 フッと足から力を抜くと、すかさず撩が指を中心で滑らせてきた。撩の指がそこで動いているというだけで、香はたまらなくなる。「あぁ」と声を上げれば、部屋に反響してからフワッと声が消えていった。指の動きが速くなったと思うと、腰のあたりがぞわりとして逃げたくなる。そんな香を認めないとばかりに撩が指を突き刺すように当てると、確実に快楽の芽を押した動きは、香から自由を奪っていく。
 ビクンビクンとした動きを見届けた後、撩は自身の水着を脱ぎながら、そのままプールへと身体を沈ませた。まだ水中にある香の下半身には、黒布が残っている。もう、これもいらない。左腰の結び目を歯で解くと、水にふわふわと布が揺れて、肝心な部分の全貌を明かしてはくれない。全てを見たいと思いながらも、劣情はこれまでになく大きく滾り、あるべき場所へ収まることを願っていた。

their_life4_convert_20170828232830.jpg

「ふわああああ!!!!!」
 今さらこんな状況で、我慢も何もなかった。満月の魔力か、香を思いやるよりも、自分の欲望を叶えたい気持ちが強くなっている。一気に突き立てた劣情を香のそこは柔らかく受け入れ、さらに引き摺り込もうとしている。香の誘いに乗るように、そして抗うように腰を動かせば、今日はプールの水音がそこに響いた。あまりの激しさに香の背中が悲鳴を上げると、つながったまま今度は撩の上に座り込む形になる。
「だから、ふかいのっ、やっ」
 突き上げるたび、蕩けた顔と涎まみれの唇で言う香に、撩は聞いてみたくなった。
「なんでだよ。いいじゃねぇか、気持ちいいんだろ?」
「だからっ! 気持ち良すぎて、あたしバラバラになっちゃう……」
「いいぜ、ちゃーんと俺が戻してやる。だから、……壊れちまえ、香」
 耳元で囁いてから、頬に優しく口付ける。なのに、突き上げはどんどん強くなって、香の理性に少しずつヒビを入れていた。
「やだぁ! 許してぇ!!!」
「だから言ってるだろ、壊れることを許してやるって」
 優しい口調と共に、撩が思いきり香を突き上げた。すると、香は高い嬌声を響かせながら、身体全体が大きくざわめき、中は蠢く。今こそ香の誘いに乗ればいいのだと、撩は滾った劣情をそのまま放った。撩が中で膨張と収縮を繰り返し、自分の奥に何かを残している。薬を飲んでいるから実ることはないけれど、撩の証が自分の中に放たれたという事実そのものが香を酔わせていた。


 二人は息を荒くして、そのままプールサイドへ寝転がる。顔を合わせると、何とも言えない表情の後に微笑み、そして顔を近づけた。
「ちゃんとキス、ほしかったな」
「たくさん、くれてやるから。……夜はこれから、だろ?」
 軽いキスの後で悪戯っぽく笑う撩を見て、香は長い夜になるんだなと諦めることにした。
「ちゃんと、槇村香に戻してね」
「今だって、ちゃんと槇村香だろ? 他の何がある」
「撩……」
 どんな姿でも、香は香。その言葉に、まだ二人はつながっているというのに、香の胸はホワッと温かくなる。
「俺もそうだって、おまえが教えてくれたんだから」


 そんな二人を変わらず、満月と星空がじっと見つめ、照らしていた。







Special Thanx to Pound

スポンサーサイト
  1. [ edit ]
  2. 彼らの日常

プロフィール

うーたん

Author:うーたん
好き勝手に書き散らかしておりまする。書いたお話は、まるで千歳飴(どこ切っても同じ)。タニシのようにひっそりと生息してたけど、只今休眠中。

最新コメント

最新トラックバック

« 2018 07  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

検索フォーム

The antenna is here.

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム


pagetop

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。