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Ambivalent and Vague

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彼らの時代

That's not fair.
冴羽さんと槇兄時代の話


 
「これが、今度お願いする件の資料よ。目を通しておいて」
 冴子は茶色い封筒を差し出しながら、そう言った。ビジネスに徹した言い方はどこか緊張を感じさせ、撩はそんな冴子に興味を持っていた。


 ──その緊張の向こうにあるのは、どんな姿だ。
 ──そこに俺を満たすものがあるのなら。
 撩にとって、冴子の容姿は申し分ない。さらに腕が立つから、一緒に仕事をするにも頼めることは多いと思っている。ただ、出会ってから日が浅いからか、お互いに距離感が掴めない。冴子のことをよく知っている槇村の前では、一体どんな言動になるというのか。
 だから、撩は冴子に試したくなるときがある。今がそのときだ。


「冴子ちゃぁん、そんな堅っ苦しい言い方だと、撩ちゃんやる気なくしちゃうよ〜」
 道化師のように陽気な空気を纏わせ、撩は冴子に懇願した。両手を合わせてすり寄るそのさまは、下心満載にしか見えない。そんなやりとりを見て、槇村はため息をついた。
「撩、野上は仕事で来てるんだ。そういうことは、プライベートでやれ」
 すると、撩はいきなり真面目な顔になり、槇村にぐぐっと迫った。その距離の近さに、槇村はつい体を反らす。
「槇ちゃん、プライベートの充実は、仕事遂行に重要なんだぞ」
「それも一理あるが、プライベートと仕事を分けるのも重要だ」
「俺は分けるなんてゴメンだね、いっつも素直でいたいの」
 撩はだらしない顔をして、体をくねくねと動かしている。撩のその素直さは、感性のままに動ける彼の特性につながるのだろうが、それにしても、本能に素直すぎるのはどうなのだろう。とはいえ、そんなことを言っていても、撩は仕事をきっちり遂行するタイプだ。そこは信頼ができるし、だからこそ一緒にコンビを組めている。
「わかったよ、そこはおまえに任せる。……だが、残念だな。今は野上を口説く時間はないぞ」
「なぁんでだよ」
 槇村に邪魔をされたようで、撩は少しだけ口を尖らせた。別に今日、冴子の本質を見定めようとは思わない。ただ、少しくらい揺さぶらせてくれてもいいはずだ。それなのに、槇村は、いいタイミングで助け船を出してくる。そんな彼を、撩は食えないやつだと思ってしまう。
「おまえ、自分の予定をわかってないのか? この後、教授のところに行くんだろ。その時間は何時だったんだ?」
 槇村の言葉に、撩はハッとした。時計を見ると、教授との約束にはギリギリの時間だ。
「やべっ、もう出なくちゃいけねぇや。……ということで冴子ちゃん、まったねぇ!」
 へらへらとした表情のまま、撩はアパートを飛び出した。槇村がベランダへの窓から下を見ていると、赤いクーパーが急発進していくのが見えた。





 車が見えなくなると、槇村は体をくるりと動かして、ソファへと戻った。
「まったく、あいつの運転は危ないなぁ」
「あなたも大変ね、あの男のお世話なんて」

冴子さん_convert_20180604194004

 背筋を伸ばして座っていたはずの冴子は、今はもう姿勢を崩している。ソファの肘掛けに上半身をもたれかけさせ、クスクスと笑いながら見上げる様子は、さっきまでとは大違いだ。
「別に、あいつの世話を義務には思っちゃいないさ。……ただ、目が離せない男ではあるがね」
 苦笑いした槇村が言うと、今度は冴子が口を尖らせた。まるでさっきの撩と同じように、どこか不満そうだ。
「なんだよ、冴子」
「もう、二人きりになったっていうのに、そういうこと言うわけ?」
 冴子の言葉に、槇村はポカンとした表情になった。まるで想像もしなかったことを言われたかのように、すぐに理解できなかったらしい。それも槇村なのだとわかりつつも、冴子はそうやって自分を振り回す槇村が小憎たらしかった。
「あなたの目が離せないって、妹さんと撩と。……私はどこにいるのかしらね?」
 槇村はやっと合点がいったのか、あぁそうかという表情をすると、また苦笑いになった。
「冴子、そうやって俺を困らせるのは勘弁してくれよ」
「あら、私だって勘弁してほしいわ。あなたのそんな狡さにお付き合いしている、私の身にもなってよ」
 槇村と冴子は、刑事時代から付き合いを重ねている。最初は特捜部のコンビとして、それから恋人として。それなのに、冴子は自分が槇村にとっての一番になれないことに気がついていた。未成年の妹という理由はもっともだけれど、あとから登場した野良犬に順位を抜かれるのはいただけない。
「撩は、俺の仕事のパートナーだ。信頼しなくちゃ、仕事にならんだろ」
「それはわかるわよ。私が聞きたいのは、あなたの中の私の位置よ」
 変わらずソファに横たわる冴子は、もう拗ねた表情ではない。どこか槇村をからかうように、悪戯っぽく微笑んでいる。
 ──確かに、冴子に我慢させているのはわかるんだけどな。
 そうは思いながらも、答えが出ていない問いを突きつけられる、この時間が槇村には厳しい。冴子も妹も撩も、それぞれ大切というのが槇村の本音なのだが、それをどうやったら冴子に理解してもらえるのか。三人は比べるものではない、それぞれ大切であることの質が違う。
 目の前でうんうん唸っている槇村を見て、冴子はふぅと息を吐いた。恋人を大いに困らせたいわけではないし、そこまで真剣に考えてくれたというのが現時点での答えなのだろう。
 ──今日のところは、許してあげますか。
 冴子は起き上がり、座り直して背筋を伸ばした。そしてそのまま、静かに立ち上がる。
「今日のところは帰るわね」
「冴子?」
 あんなにも答えを求めていた冴子が、槇村の返事を待つことなく帰ろうとしている。その変化についていけないが、心の奥底でホッとしたのはなぜだろうか。
「もう署に戻らなきゃいけないから。じゃあ、今度の件はよろしくね」
 片手をひらひらさせながら、冴子がリビングを出て行った。
 一人残された槇村は、これまた急展開についていけず、しばらく動けなかった。





「まったく。一番狡いのは、槇村じゃないの」
 まだあのままリビングで立ったままであろう、答えすら明確にしてくれない恋人への愚痴を小さく吐いた。







Special Thanx to M.Hituji.


 皆様、お久し振りです。
 案の定、日常生活が忙しくなりまして。ぼちぼち書ける方向性を模索していたものの、再開できるほどの余裕はまだなさそうです。
 が、先日、仲良くさせていただいているママひつじさんより素敵な絵を見せて頂き、その絵に合わせた話を一気に書き上げました。冴羽さんと香ちゃんの話でもないですし、どうしようかとも思ったのですが、この素敵な絵を埋もれたままにしてはいかーん!という思いのもと、ママひつじさんに了承を得た上でアップします。
 来年の映画化を控え、そろそろ次の情報が来てくれないかなと思うところではありますが、こちらとしては待つしかないですね。どんなお話になるのか、一ファンとして楽しみにしています。
 もしかしたら、またこのようにお話をアップするかもしれませんが、基本はまた潜ります。
 皆様、それでは。

※追伸※
 別館にもお話を一つ上げました。ある意味うちらしい話かな、と思っています。
 お暇なときにでも読んでいただけると嬉しいです。

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Author:うーたん
好き勝手に書き散らかしておりまする。書いたお話は、まるで千歳飴(どこ切っても同じ)。タニシのようにひっそりと生息してたけど、只今休眠中。

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